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「ライト、ついてますか ―問題発見の人間学」を読んでみた

2018-10-27

技術的な考え方まとめのようなページで何度か名前を見たことがあった本「ライト、ついてますか ―問題発見の人間学」を読んでみました。
最近では信用できるか怪しいですが、 Amazon での評価もそこそこ高かったです。

タイトル

本のタイトルは「ライト、ついてますか ―問題発見の人間学」となっていますが、もともとは外国の本で、オリジナルのタイトルは「ARE YOUR LIGHT ON? How to figure out what the plobrem really is.」 です。
著者は、Donald C. Gause と Gerald M. Weinberg の 2 名。日本語訳は 木村 泉 さんです。

なぜこの本を読もうと思ったか

冒頭にも書きましたが、「新人エンジニアに読ませたい」とか「エンジニアとしての考え方を養う」みたいな触れ込みでこの本が紹介されていることが多かったからです。
私自身 もう新人とは言えない年にはなってますが、これまでこういう類の本は一切読んでこなかったので、とりあえずよく紹介されているから読んでみようと思ったわけです。

概要

タイトルにもありますが、問題とは何なのか ということについて書かれています。
具体的には、次の 6 部構成で書かれています。

  1. 何が問題か?
  2. 問題とは何なのか?
  3. 問題とは本当のところ何か?
  4. それは誰の問題か?
  5. それはどこからきたか?
  6. われわれはそれを本当に解きたいか?

それぞれの部にはいくつかの小さなエピソードをもとに、部のタイトルとなっていることについて説明されています。
そして、その説明を要約するような、名言のようなフレーズがいくつも出てくる という内容です。

印象に残ったところ

概要のところでも書いたように、この本には重要なフレーズや名言っぽいことがたくさん書かれています。なので、それらの中から印象に残っているところをいくつか紹介します。

問題を抱えているのはだれか?
あなたの問題の本質は何ですか?

これは第 1 部の最初に出てくる言葉です。
何かしら問題として出てきたときに、いきなりそれをとこうとするのではなく、 その問題を抱えているのは誰なのか をまず考えようということです。
また、抱えているのが誰なのかがわかれば、その人に対して あなたの問題の本質はなんですか? と聞いてみようということです。
その問題によって 誰が、どんなふうに 困っているのかがわかれば対応方法も具体的に出てきやすいなと、改めて思いました。

キミの問題定義を
外国人や盲人や子供について
試してみよう。またキミ自身が
外国人や盲人や子供になってみよう

これは第 3 部の 不適合を見落とす話 に出ていくるフレーズです。
この章では 新しい視点は必ず新しい不適合を作り出す という言葉もあり、何かに対して問題を定義する際に、さまざまな立場に立って考えることでより多くの問題の定義を見つけることができる という内容です。
グローバルなシステムやサービスでは、このようにさまざまな視点に立って問題を考えることがより重要になりそうです。

問題をどう変えたら
解答を変えることができるだろうか?

これは第 3 部の うまいレベルに着陸する話 に出てくるフレーズです。
章のタイトルからもわかるように、問題に対して、如何に解答する側の都合のいいようにもっていくか という内容です。
問題によっては馬鹿正直に解こうとすると大変な目に遭うようなものだったり、そもそも解くことができない問題もあります。しかし、問題を抱えている人は何かしらの解答を求めているので、それに応えるためにどうするか。
じゃあ、解答しやすいように問題を変えてしまおう という力技ですね。ただ、こういう考えも必要だなとは思いました。

まとめ

いくつか本の中のフレーズを引用しましたが、ちょっとした違和感が伝わるでしょうか。
冒頭に書きましたが、この本は外国で書かれた本を日本語訳されています。また、各部ではその部の概要を説明する内容のエピソードがあるとも書きましたが、これらのエピソードは現地の環境での話です。
これらのことから、正直細かい内容は頭に入ってきづらいです。
特に日本語訳については不自然な部分が多く、文章としても読みづらいところが多々ありました。

とは言っても、フレーズに関してはニュアンスで理解はできて、いろいろな視点での考え方が身につきそうな内容なので、本としては面白いです。
特に問題解決に関してはエンジニアが一生付き合っていかなければいけないものなので、新人エンジニアにおすすめしたい本として紹介される理由はわかった気がします。

でも、やっぱり日本語訳が残念ですね。それに尽きる思います。


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